介護通信ヘルスケア業界のWEBメディア
介護通信ヘルスケア業界のWEBメディア

職員を「カスハラ」から守るために

2022/05/19 14:43

介護サービス利用者本人や、その家族が職員に対して行う「カスタマーハラスメント」は、介護業界において深刻な問題になっています。職員の心身を傷つけ、離職・退職にダイレクトにつながる可能性もある「カスハラ」ですが、その対応は簡単ではありません。今回は厚生労働省が対策マニュアルを作成するなど、介護現場において重要度の増す「カスハラ」の対策や注意点について紹介します。

介護業界におけるカスハラの実態

カスタマーハラスメントは、多くの企業でパワハラ、セクハラについで多くの被害が報告されており、介護業界においては特に深刻です。厚生労働省が発表した「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」(平成31年)によれば、入所以来利用者からハラスメントを受けた人のおおよその割合は、介護老人福祉施設で7割、最も少ない訪問リハビリテーションでも4割、家族からのハラスメントもおおよそ1割から3割の職員が経験しています。
その内容は精神的暴力、身体的暴力、セクシュアルハラスメントが多く、その被害によって病気(精神的な病気も含む)やケガを負った職員はおおよそ1~2割、仕事をやめたいと思ったことのある職員はおおよそ2~4割にもなります。ハラスメントが原因で実際に退職に至る人も多く、特に経験が不足している若いスタッフや、性的な嫌がらせを受けやすい女性スタッフへのダメージは、より大きくなっています。

これには
・対人サービスが多い
・利用者宅への単身の訪問、利用者への身体的接触が多い
・女性職員の割合が高い
・サービスの内容から、安易に中止できない
といった原因があげられます。

組織としての対応力を身につける

ハラスメントを受けた職員の多くは、施設や事業者に対して「ハラスメントの報告を事実として認めて欲しい」「今後の対応について明確にしてほしい」「具体的な対応について話し合う場がほしい」といった組織としての対応を希望しています。職員へのケアという観点から、あるいは再発防止の観点からも、個人の対応を責めたり、個別のケースとして見るのではなく、組織的・総合的に対応しなければなりません。

まずは事業所としてハラスメントに対する基本的な考え、対応について決定し、職員と共有することが必要です。そしてハラスメントの未然防止、あるいは発生した際のマニュアルを作成するとともに、職員が報告・相談しやすい窓口を設置することも有効です。
また、介護事業所だけでなく多くの企業が実践しているのが、ハラスメントに対する事業者としての基本方針を顧客向けに開示することです。従業員だけでなく、利用者や家族等に対して
・介護現場での職員へのハラスメントが問題になっていること
・介護サービスを継続して利用いただくには、ハラスメントを防止する必要があること
を伝えます。この際、契約書に「暴言・暴力・ハラスメントを行った場合、サービスの中断・解除する場合があります」と記載するなど、わかりやすく、はっきり示すことが重要です。

まとめ

介護サービスを提供するうえで、利用者や家族にはなるべく誠実に対応する必要があります。しかしその範疇を超えた暴力・暴言・セクハラといった行為は、スタッフの尊厳や心身を傷つける行為であり、決して許されるものではありません。
一方で個々のスタッフはもちろん、事業所単位でも簡単に解決できないこともあり、法律の専門家や警察、医師など外部との連携も含めて、毅然に対応する必要があります。利用者や家族との良好な関係のもと、スタッフが安心して働き、そのスキルをフルに発揮できるよう、継続的な対策・対応が求められます。

すこやかサンを提供するEMシステムズでは、皆様の業務に役立つ情報をメールマガジンでも発信しています。購読をご希望の方はこちらから申込みをお願いいたします。

情報提供元:株式会社EMシステムズ
当サイトは、株式会社EMシステムズが管理し、情報を編集・提供しています。提供している情報は公開時点の情報です。投稿等の内容及び提供した情報に関して、その正確性・速報性・合法性・完全性・有用性など、会員に対していかなる保証もいたしません。自身の判断でご利用下さい。

次ページ
介護職員の処遇改善の最新状況と今後の見通し
TOP