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知っておきたい「科学的介護」

2021/11/19 19:11

令和3年度介護報酬改定では、科学的介護情報システム「LIFE」との連携など、科学的介護への本格的なシフトが顕著になっています。新たに加算される「科学的介護推進体制加算」のあらましや算定要件、エビデンスに基づいた介護への理解など、科学的介護の基礎について解説します。

科学的介護のための新加算

令和3年度介護報酬改定において、科学的介護情報システム(以下LIFE)へのデータ提出とフィードバック情報の活用を要件とする新たな加算が創設されました。その中でも象徴的な項目が「科学的介護推進体制加算」です。科学的介護推進体制加算は、訪問系等以外の多サービスにおいて、科学的介護を促進するうえで必要となる各種のデータをLIFEに提出することを求めるものです。更にLIFEに提供したデータや、その分析結果からのフィードバックを活用することで、PDCAサイクルを機能させ、ケアの質を向上させることも重要な目的です。

単位数は通所・居住系で利用者ごとに月40単位(Ⅰ)となっており、施設系では利用者ごとに(Ⅰ)に加えて月20単位(特養は10単位)が上乗せされた区分(Ⅱ)があります。この区分では利用者の既往歴や入所前の家族の状況、服薬情報といった情報の記載も求められます。算定要件は利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況、その他の入所者の心身の状況等の係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること、つまりLIFEと連携していることが必須となります。

また、同じく令和3年度介護報酬改定によって「自立支援促進加算」も創設されました。これは医学的な評価をベースに、介護保険施設の全ての入所者への自立支援や重度化、寝たきりの防止を図るため、リハビリや機能訓練などといった取り組みを評価するものです。ここでも全ての利用者の医学的評価や利用者の状態、ケアの実績などを、LIFEに提供することが要件になっています。

科学的介護推進体制加算

適用されるサービス 単位
通所系サービス、居住系サービス、小規模多機能系サービス 利用者ごとに40単位/月
施設系サービス(Ⅰ) 利用者ごとに40単位/月
施設系サービス(Ⅱ) 利用者ごとに60単位/月

※特養ホームは利用者ごとに50単位/月

情報提供する項目

サービス区分 項目
通所系サービス、居住系サービス、小規模多機能系サービス、施設系サービス(Ⅰ) ADL状態、口腔・栄養状態、認知症の状況
施設系サービス(Ⅱ) 上記に加え、既往歴、服薬情報、家族の状況など

※特養ホームは服薬情報を求めない

なぜ科学的介護が必要なのか

LIFEへの情報提供によって新たな加算が得られれば、事業所の収益増につながります。一方で、新型コロナウイルス感染対策という新たなタスクを課されているスタッフにとっては、多忙な業務にLIFEへの連携という実務が更に加わることになります。こうした状況の中で「やらされている」という受け身の捉え方にならないためには、科学的介護が現場のケアにおいてどのような役割を果たすのかをしっかりと理解してもらうことが欠かせません。

そもそも医療分野では1990年代以降「エビデンスに基づく医療」が実施されており、介護分野においてもこうしたエビデンス=科学的な裏付けをベースにしたデータ活用の動きが広がっていました。2009年からの「市町村の要介護認定情報」や「介護レセプト情報」、2017年度からの「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会設置」、2019年からの「CHACE」の導入などもその一端です。

病気やケガに対して科学的根拠に基づいて治療法を判断し、その効果を判断する医療とは異なり、介護は利用者のもつ価値観や意向、意欲が大きく関係しています。その分明確なコンセンサスを得やすい方法が確立されにくく、今後のデータ活用のあり方には検討の余地があります。しかし、例えば職員の経験や、事業所内で受け継がれてきた介護が、本当に利用者の自立支援や重度化防止に貢献しているのかを明らかにするためには、客観的な指標に基づいたデータと、その分析から導き出される根拠を十分に活かす必要があります。また、保険料の上昇が続く中で、それに見合った価値を証明するためにも、介護にエビデンスを求める流れは今後も加速していくでしょう。

政府も今後段階的に科学的介護を拡充していくとみられ、次回以降の介護報酬・基準改定では対象サービスやデータ項目の更なる拡大も予想されます。今の段階から現場におけるLIFE活用の体制づくり、スタッフに対するデータベース構築への理解促進といった対策に取り組んでおきたいものです。

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